腸内細菌代謝物による消化管ホルモン分泌制御機構の解明
【研究キーワード】
消化管ホルモン / 腸内細菌 / イメージング
【研究成果の概要】
認知症や自閉スペクトラム症、また糖尿病や肥満症との関連が指摘されている腸内細菌代謝産物を、小腸内分泌細胞株およびマウスの消化管(小腸および大腸)に直接に投与し、消化管ホルモン(グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP))分泌への影響を検討した。解析の結果、消化管内分泌細胞へ腸内細菌代謝産物を消化管内分泌細胞に投与したところ、11種類の腸内細菌代謝物の投与によってGLP-1分泌が増強された。そこで、11種類の腸内細菌代謝産物をマウスの小腸へ直接投与したところ、6種類の腸内細菌代謝産物によって、GLP-1分泌が増強されることが分かった。一方、2種類の腸内細菌代謝産物では消化管ホルモン分泌が抑制された。一方、大腸への直接投与してもGLP-1分泌が増強されることはなかった。GLP-1分泌を促進した6種類の腸内細菌代謝産物の作用機序を明らかにするために、細胞内Ca2+および細胞内ATPの濃度測定を可能にした蛍光タンパク質センサーを小腸内分泌細胞株に遺伝子導入し、影響を受ける細胞内情報伝達経路の同定を試みた。さらに、細胞の代謝状態を可視化解析するための分子プローブも開発した。具体的には、細胞内のピルビン酸および乳酸の動態を高時間分解能で可視化解析するための緑色蛍光タンパク質を基盤とした単色輝度変化型乳酸センサーおよびピルビン酸センサーを開発した。開発した緑色乳酸センサーは、乳酸存在下で蛍光輝度が約5倍に、緑色ピルビン酸センサーは、ピルビン酸存在下で蛍光輝度が約3倍に上昇することが分かった。小腸内分泌細胞株に6種類の腸内細菌代謝産物を投与したところ、細胞内Ca2+とATP濃度上昇が観察された。一方、乳酸やピルビン酸濃度には変化が見られなかった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
北口 哲也 | 東京工業大学 | 科学技術創成研究院 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
原田 一貴 | 東京大学 | 大学院総合文化研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)