イオンチャネル及び膜受容体の信号伝達による細胞機能発現機構の生理学的意義
【研究分野】生理学一般
【研究キーワード】
イオンチャネル / トランスポーター / 受容体 / 細胞内情報伝達 / チャネルゲート
【研究成果の概要】
イオンチャネルは生体膜を貫通するタンパク質で、生物の細胞に広く分布し細胞内と細胞外との間で物質の輸送を担い細胞内環境の恒常性の維持に関わる重要な分子である。
近年の研究からイオンチャネル、トランスポーター及び受容体については機構上の相互作用が認められたのみならず、細胞内情報伝達系の共通性も認められるに至った。この企画は各種の細胞においてこれらの問題点を共有する研究者が一堂に会し情報を交換するためのものである。取り扱われた細胞は心筋細胞・各種神経細胞を中心とし血管平滑筋及び内皮細胞にまでおよぶ広範囲なもので、研究課題としては細胞内情報伝達機構と、チャネルゲートの調節機構及び細胞の分化調節機構が話し合われた。
得られた主な成果を取り上げると 1.心筋のL型Ca^<2+>チャネルにおいて、Mg^<2+>の関与する新たな制御系の発見があった。2.心筋細胞で、Na^+-K^+ポンプ機構とNa^+-Ca^+交換機構の相互作用を測定し全細胞体積の制御の1/7がNa^+拡散により制御されていることを明らかにした 3.膵臓のβ細胞からのインスリン分泌にはピルビン酸を経由する系以外にミトコンドリア膜を介するNADHの輸送系も関与することが判った。 4.腹膜小動脈では、AchによりCa^<2+>依存性K^+チャネルが活性化され血管内皮細胞膜は過分極するが、血管平滑筋は血管内皮細胞と平滑筋細胞間のギャップ結合を通して過分極されるらしいことがわかった。
これらの成果を基に、将来のイオンチャネル異常による病態時への対応及び薬物治療の可能性も討議された。
【研究代表者】