植物のポジティブな花粉排除機構の解明
【研究キーワード】
受粉 / 雌蕊 / 花粉 / シグナル伝達 / ライブイメージング / 化合物制御 / 種間不和合性 / ケミカルスクリーニング / ケミカルライブラリー / 排除
【研究成果の概要】
(i)ポジティブな花粉排除機構の新奇遺伝変異のスクリーニング
昨年度までで、シロイヌナズナ種内の遺伝的多様性について新たな変異を見出し、NGS解析を行いながら現在原因となる分子を探索した.現在、候補原因因子を同定している段階であり、引き続き機能解析を行う.
(ii)花粉排除機構を打破する化合物のスクリーニング
ケミカルスクリーニングに向けて、100種類異常のSPRI1のアミノ酸置換体の機能解析を行った.その結果、SPRI1の機能に重要であるアミノ酸部位を特定することができた.例えば、アミノ酸67番目と80番目のシステインはSPRI1の機能に非常にクリティカルな役割を果たすことが明らかとなった.さらに、それらのアミノ酸が分子間、あるいは分子内でジスルフィド結合を形成する可能性を見出した.SPRI1の機能を制御する上で、本タンパク質のS-S架橋を標的とするようなケミカルデザインが有効であると考えられた.
(iii)ライブイメージングによる異種花粉応答反応の解明
超解像顕微鏡を用いたSPRI1のライブイメージング解析により、SPRI1は細胞膜上で粒状の構造を形成することが明らかとなった.一方、この構造体は受粉の有無で特に動態が変動しなかったため、粒状構造は雌蕊において異種花粉応答の条件を作るものであると推察された.一方、SPRI1は四回膜貫通型のタンパク質であるが、SPRI1が足場タンパク質となって細胞膜状で複合体が形成され、異種花粉リジェクト能力が作られているという可能性が考えられた.今後は、蛍光退色回復法や、複合体精製を介してSPRI1の機能を明らかにすることが有効であると考えられた.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
和田 七夕子 | 奈良先端科学技術大学院大学 | 先端科学技術研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)