味細胞株樹立の技術設計および味覚工学創出の基盤解析
【研究分野】応用分子細胞生物学
【研究キーワード】
味蕾細胞 / 初代培養 / Caイオン / 遺伝子導入 / 細胞接着 / 基底膜 / ラミニン / インテグリン / 味覚
【研究成果の概要】
初代培養した味蕾細胞の細胞形態と細胞間接着は、培養液の細胞外カルシウムイオンの濃度に依存して大きく変化した。0.5mM以上の高カルシウムイオン濃度条件下では細胞同士が強く結合し、細胞塊を形成した。一方、0.1mM以下の低カルシウムイオン濃度条件下では、細胞は次第に分散し、細長い形をとるようになった。これら2つの細胞状態は、カルシウムイオン特異的、かつ、可逆的であった。この結果から、カルシウムイオンは細胞外において味蕾細胞の形と接着を調節する因子であることが示された。
味蕾細胞が接着している基底膜成分に存在するラミニン・サブユニットを分析した。βおよびγサブユニットに関してRT-PCR法および免疫組織化学的方法で解析した結果、β2サブユニットおよびγ1サブユニットが主要な分子種としてラット有郭乳頭基底膜に存在することがわかった。さらに、ラミニンをリガンドとする受容体として機能している可能性があるインテグリンに関して、そのβサブユニットの発現をRT-PCR法で解析したところ、β1、4、および5の3種類の分子が、味蕾細胞を含む上皮細胞層において発現していることが明らかになった。
本研究で確立した味蕾初代培養細胞にアデノウィルスベクター系を用いて、効率90%以上で外来遺伝子を導入することに成功した。この方法を用いてα1アドレナリン受容体導入細胞の細胞内カルシウムイオン濃度のリガンド(アドレナリン)応答性を観察した。その結果、導入細胞の約50%においてリガンドに応答した細胞内カルシウムイオン濃度の上昇が観察された。また、リガンド未添加時において細胞内カルシウムイオン濃度が高い細胞ほど、応答性が高い傾向はあったが、応答性と味細胞マーカーとの存在には余り相関が見られなかった。
今後、味細胞を含む味蕾細胞の解析とその応用を行うために有用な実験系となることが期待される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
反町 洋之 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
榎森 康文 | 東京大学 | 大学院・理学系研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
海老原 敏 | 国立がんセンター東病院 | 院長(研究職/">(Kakenデータベース) |
塚本 義則 | 株式会社ミツカングループ | 本社中央研究所 | 所長(研究職/">(Kakenデータベース) |
中尾 政之 | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】43,940千円 (直接経費: 33,800千円、間接経費: 10,140千円)