B型肝炎ウイルスの肝細胞侵入・増殖機構の構造基盤と立体構造に基づく創薬
【研究キーワード】
B型肝炎ウイルス / タンパク質―タンパク質相互作用 / NMR / in silicoスクリーニング
【研究成果の概要】
本研究では、B型肝炎ウイルス(HBV)が肝細胞に侵入する際に必須のpreS1とNTCPの相互作用、およびHBVの増殖時に必要なpreSとキャプシド(Cp)の相互作用を原子分解能で明らかにすることでHBVの肝細胞侵入・増殖のメカニズムを解明すること、さらに明らかにした相互作用様式に基づき、その相互作用を阻害する化合物を抗HBV薬候補化合物として提唱することを目的としている。
今年度は、preS1とNTCPの複合体の立体構造解析に向けて、サンプルの大量調製と結合親和性の定量的な解析を目指した。しかし、NTCPを再現性よく調製することに難航したため、目的の達成には至らなかった。一方で、preS1はミリストイル化されることが肝細胞膜上のNTCPとの結合に重要であることが知られている。そこで、NTCPの調製と並行してミリストイル化preS1の解析や、preS1に結合してNTCPとの相互作用を阻害することが報告されている化合物とpreS1との相互作用をNMR法や等温滴定型カロリメトリーにより調べた。その結果、溶液中においてミリストイル化preS1のミリストイル基が、preS1の疎水性領域と相互作用することが示唆された。また、preS1に結合してNTCPとの結合を阻害する化合物には、複数分子の化合物がpreS1に結合して、複合体の凝集を引き起こすものが存在することが分かった。現在、preS1を分割したペプチドを用いることにより化合物の結合部位や相互作用様式を明らかにし、preS1とNTCPの相互作用の阻害様式を解明することを試みている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大澤 匡範 | 慶應義塾大学 | 薬学部(芝共立) | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)