バイオ・テクノロジー成果物の保護形式と権利の範囲
【研究分野】民事法学
【研究キーワード】
種苗法 / 特許法 / 試験・研究 / 均等論 / ゲノムプロジェクト / バイオテクノロジー / バイオテクロノジー / 特許請求の範囲 / 記載要件 / 請求の解釈 / 技術的範囲
【研究成果の概要】
現在、国内外を問わず、バイオテクノロジーの研究開発が盛んであるが、この技術について法的側面からも強力にバックアップすることを目的として、研究成果の保護形式と権利の範囲に関する研究を進めてきた。
保護形式については、植物・医薬品・遺伝子解析データという、3つの主要なバイオテクノロジー成果物に着目し、それぞれについて問題点を抽出し、検討を行った。
1.植物新品種に関しては、種苗法と特許法の2つの保護形式が考えられ、両者の適用関係の競合が問題となる。争訟上の論点などを概観した上で、これら2つの保護形式をいかに使い分けるべきかを考察した。
2.医薬品に関しては、試験・研究のための発明の実施がどの範囲まで特許権の効力外とされるかが、国際的にホットな話題となっている。諸外国及び我が国のこれまでの動向や裁判例を踏まえた上で、望ましいあり方を提唱した。
3.ゲノムプロジェクトの進展に伴い、ESTのデータが蓄積されている。米国ではこれに特許を付与するという動きがあり、論争が生じているが、そもそもこのような基礎的な解析データに特許を与えるべきであろうか。実験に携わる研究者の見解も踏また上で、この問題について考察した。
また、権利範囲については、バイオ研究における均等論の適用について、判例を踏まえつつ検討を行った。
さらに、研究成果の保護の次の段階として、いかにしてそれを社会に還元するかという問題についても検討した。昨今の産学間の技術移転促進を目指した法整備を踏まえ、バイオテクノロジーと他の技術との違いも考慮した上で、今後の課題やその解決策を検討した。
【研究代表者】