両生類の形態・構造特異性の決定機構の解明
【研究分野】植物形態・構造
【研究キーワード】
両生類 / ウシガエル / アフリカツメガエル / イモリ / 変態ホルモン / 皮膚変換 / ケラチン / コラーゲン / 変態 / 再生 / コラゲナーゼ / アカハライモリ / プロラクチン / 甲状腺ホルモン / カテプシン / 両性類 / コラゲ-ナーゼ / ホメオボックス遺伝子 / カテプシンD / 遺伝子クローニング
【研究成果の概要】
本研究の最も重要な成果は「皮膚の変換中心」の概念を提出できたことである。変態前期の若いオタマジャクシの体側部に変換中心が点状に出現し、この中心がオタマジャクシの発達とともに体の他の部位に進入していくことを明らかにした。この中心は決して尾の領域に進入しないことで皮膚変態の部域特異性が説明できる。
皮膚の変換中心の分子的性質を明らかにするために表皮と皮膚結合組織から次の16種のcDNA・遺伝子をクローニングした。ウシガエルとアフリカツメガエルの7種のケラチン、ウシガエルのガレクチン、機能未知の新規性遺伝子2種、ウシガエルのカテプシンのcDNAおよびその遺伝子の上流域、ウシガエルのオステオネクチン、ウシガエルの1型コラーゲンα1鎖およびα2鎖、イモリ1型コラーゲンα1鎖およびα2鎖、ウシガエルMMP1遺伝子の上流域。また、タンパク質レベルでは5種類のカルシウム結合蛋白質を同定した。以上の結果は吉里と大房が中心となって展開した。菊山は、イモリ、ウシガエル、アフリカツメガエルの脳下垂体ホルモン系の研究を展開した。
本研究の初期の目的はカエルとイモリの変態の仕組みを明らかにして、両者の形態特異性獲得の理解に繋げるというものであった。カエルの変態の仕組みについてはかなりの進展をみた。イモリについても初めてコラーゲンの遺伝子をクローニングするなどの成果を上げることができた。しかし、両者を比較して変態の種特異性獲得の仕組みを理解するまでには至らなかった。本研究の成果を踏まえて、今後は、皮膚の変換中心の形成とその移動の仕組みを、特にイモリの皮膚の変態に焦点を当てながら調べたい。これらの分子仕組みを調べるための遺伝子プローブは本研究によってそろえることができた。特に、ケラチンとコラーゲン遺伝子はこの目的の研究に有用である。
【研究代表者】