胎児期に移入する母由来細胞集団の解明とその生物学的意義の探求
【研究キーワード】
マイクロキメリズム / 母由来細胞 / キメラ / 発生
【研究成果の概要】
我々ヒトを含む有胎盤哺乳類では、胎児期に母親の細胞(母由来細胞)が移入し、出生後も生涯にわたり全身の臓器組織に残り続ける。この母由来細胞は、免疫寛容や組織再生、さらには炎症性先天異常疾患の発症・悪化といった多様な生体内現象への関与が示唆されてきたが、何がきっかけで異なる現象に結びつくのかは不明である。従来研究では、個別の細胞種をターゲットとして免疫系の細胞や幹細胞などが含まれることがわかっていたが、そうした細胞が胎児に移入する母由来細胞集団のうちどの程度の割合を占めるのか、数は個体によってことなるのかといった知見は得られていなかった。そこで本課題では、移入する細胞の数・種類や分布が個体によって異なるという仮説をたて、まずは母由来細胞の数や細胞種が個体間で異なるかどうかを調べる。そして得られた結果から、母由来細胞の数や細胞種レパートリーの違いが上述の多様な現象に関与している可能性を考察する。
本年度は、GFPマウスを用いて母由来細胞のみGFP陽性とした母由来細胞検出系を立ち上げ、その単離、さらにはそれら細胞をsingle cell RNAseq (scRNAseq)解析にかけることに成功した。今年度の成果として、健常なマウスでも個体間に相当な細胞数の差が生じうることを報告した。scRNAseqデータについては、現在まだ解析中ではあるものの、解析のあかつきには、母由来細胞がどのような細胞種レパートリーから成るのかという疑問が初めて解明されることが期待される。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2024-03-31
【配分額】6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)