静水圧メカノシグナル制御とその組織工学への応用
【研究キーワード】
静水圧 / 軟骨細胞 / シグナル / メカノシグナル / 再生軟骨 / シグナル伝達
【研究成果の概要】
無細胞系において,Ras単体,またはGAPとGEFを含めたRasサイクルの圧力感受性を検出し,そのメカニズムを解明することを目的として,研究を進めている.昨年度は,FRETによりRas活性を検出できる機能的Raichuを昆虫細胞発現系を用いることで調製し,常圧と高圧下でのRas活性が測定できるようになった.
一方,細胞系においては,軟骨前駆細胞を用い,物理刺激を感知すると言われている一次繊毛の過大静水圧感受性に関する実験を進めた.また,静水圧負荷によるATP放出に関する実験を進めた.
また,過大静水圧処理をした軟骨前駆細胞において特異的に発現が変動する遺伝子を網羅的に同定する実験を進めた.抽出された遺伝子群のGO解析,パスウェイ解析を行うことにより,静水圧によるインプットが細胞に与える影響を予測した.そして,予測結果を基に,静水圧センシング及びその細胞動態解明のための検証実験プランを提示した.
開発した静水圧負荷に加え,圧縮応力も同時に負荷可能なシステムを用い,3次元培養された軟骨細胞に過大静水圧刺激を負荷した後のリカバリーについて,圧縮応力,静水圧それぞれ単独に負荷した場合と,同時に負荷した場合に分けて,遺伝子発現レベルで検証した.
動物実験実証研究においては,これまでに日本白色家兎並びにラットを用いた異種同所性移植モデルによる有効性評価をそれぞれ確立している.多指症由来軟骨組織より作製した細胞シートを用いて日本白色家兎並びにラットモデルへの細胞シート移植により両動物種での修復再生効果の同等性確認し,静水圧負荷技術により作製された再生軟骨組織の動物実験系を決定した.
【研究代表者】