顎運動の動的制御機構の定量的解析を目的とする咀嚼ロボットの開発
【研究分野】機能系基礎歯科学
【研究キーワード】
咀嚼 / ロボット / 顎運動 / 運動軌跡 / 咬合力 / 脳幹-脊髄標本 / 吸啜リズム / 中枢性パタン形成 / 下顎-下歯槽神経標本 / アクチュエータ / 感覚遮断 / 顎筋 / 筋電図 / 最適制御 / 評価関数
【研究成果の概要】
本研究は、神経生理学、臨床歯科医学、制御工学の知識・技術を統合して、ヒトの顎運動と同一の軌跡を描く顎運動を遂行するとともに、ヒトと同一の様式で食物の性状に適した咬合力を発生して咀嚼するための制御機構を具えた顎運動の工学モデル(咀嚼ロボット)の作成を目的とする。これによって、ヒトの顎運動の動的最適制御の神経・筋機構に関する解析的研究のための定量的モデルを開発することを目指している。
この目標達成のために、顎運動の制御機構ならびに機能的・構造的にヒトの顎運動をシミュレートする運動機構を具えたロボットを以下の設計思想に基づいて製作した:(1)顎運動はヒトの頭蓋模型で実現する、(2)顎運動の効果器として、ヒトの閉口筋および開口筋に相当するアクチュエータを装備する、(3)顎運動および咬合力の感覚受容器として、筋紡錘、歯根膜機械受容器をはじめとする生体の感覚受容器に相当するセンサを装備する、(4)ヒトの随意性顎運動ならびに反射性顎運動の司令に相当する出力を発生する制御装置を装備する。
この咀嚼ロボットの製作と並行して、ヒトの正常顎運動の軌跡ならびに咬合力発生様式の特性を明かにするために、正常ならびに異常な咀嚼運動時の顎運動の軌跡ならびに顎筋の筋電図の記録を、多数の被験者について集積した。
さらに、摂食運動の中枢性パタン発生機構のモデルとして、ラット新生仔の遊離脳幹-脊髄標本で吸啜リズム活動を誘発する手法を確立した。引続き現在は、若年成熟マウスの遊離脳幹-脊髄標本で咀嚼リズム活動の誘発を試みている。
【研究代表者】