近代日本における(座談会)の成立過程についての動態的・総合研究
【研究分野】日本文学
【研究キーワード】
日本文学 / 座談会 / 日本文学史 / 文芸雑誌 / メディア / データベース / 座談会記事、座談のテーマ / 談話筆記 / 口語文体、編集 / 速記術 / 日本近代文学 / 録音、録音技術、テープおこし / 声 / 座談会記事 / 口語文体 / 録音
【研究成果の概要】
本研究は、<座談会>という言説形式の成立および定着の過程とその背景・意義について、主に雑誌メディアを中心として調査・研究をすすめ、またそれをとおして、<座談会>がいかに作家と読者の関係を規制し、いかに創作や批評あるいは社会意識の枠組みとして寄与したかを考究することを目的として研究をおこなってきた。
その研究成果として幾つかのことが挙げられる。まず第1に、<座談会>記事掲載の雑誌調査を継続しておこない、そのデータ・ベース化をはかったことである。それによって、従来の文学史において空白のまま残されていた<座談会>関連記事のデータをかなり蓄積し、整理することが出来た。この資料については、かなりの分量となるが、すべて研究成果報告書に収録した。
第2に、3年間の研究期間において、継続的に研究会を開催して、各研究分担者の考察の成果を報告し、当初の目的である<座談会>をめぐる諸問題についての知見を相互に深める機会とした。また研究分担者のみならずゲストを招いての研究会も開催した。昨年8月には、これまで多くの<座談会>を掲載してきた雑誌『文学』(岩波書店)の編集者であった星野紘一郎氏を招いて、企画・編集者の立場から<座談会>に関わる高話を伺い、<座談会>という場が成立するに至る様々な要素・条件などについて、新たな多くの示唆を得ることとなった。また10回ほど開催した研究会では、「近代日本<座談会>の成立」「座談記事としての『新潮合評会』成立の諸要因」「なぜ座談会は『座談』会と呼ばれるのか」「戦後の座談会の特色」「近世評判記その他における対話の形態」「『対談集』の成立」等、多様なテーマについての検討をおこなった。そのような研究活動をとおして、日本近代における<座談会>の成立と展開、近世からの展開と断絶、明治期の<合評>の萌芽的・前史的意義、「新潮合評会」の意義、メディアの発達との相関、<座談会>の影響力等、多大の知見を得ることができた。これらの成果は、研究成果報告書に掲載している。
【研究代表者】