知識と実践-知識論における「実践論的転回」の意義と射程
【研究分野】哲学・倫理学
【研究キーワード】
知識 / 科学 / 操作主義 / 技術 / 技術倫理 / 実験器具 / リスク / 安全 / プラグマティズム / プロフェッショナリズム / 倫理規定 / ユニバーサルデザイン / 知識論 / 実験 / ブリッジマン / 技術論 / 知識と価値
【研究成果の概要】
本研究の目的は、「知識と実践」の関係をめぐる問題を哲学的観点と科学史的観点の両方を考慮しながら考察するというものであった。
1.哲学史のなかで知識を実践的観点から捉えることを行った代表的なものとして、デューイのプラグマティックな観点を取り上げた。そのなかで、科学と技術の関係に関して「応用科学説」とは根本的に異なった見方を確認し、さらに、技術と倫理の関係に関して、問題解決の手段としての技術と倫理という観点から、技術と倫理に関して密接な関係を見出しうることを確認した。
2.以上のプラグマティックな観点をさらに発展させるために、現在多くの哲学者や工学者によって議論がなされ始めている「技術倫理」ないし「技術者倫理」(engineering ethics)の再検討を行った。技術に特有な創造性、予見不可能性という性格を真剣に受け取るなら、技術倫理は「専門家倫理」という範囲にとどまっていたのでは安全や事故防止を実現するために必ずしも十分ではないことを示した。明確に定式化される規範よりも、失敗可能性を考慮した「文化」を形成する必要性、また、従来の専門職倫理という見方を越えて、専門家と素人との相互作用を重視し、さらに、両者に必要な「市民の徳」という見方をとることの必要性を明らかにした。
3.科学史のなかでは、知識の実践的捉え方の代表のひとつとして、ブリッジマンの操作主義が上げられることがある。その見方は哲学者へ多くの影響を与えたことは確かであったにしても、ブリッジマン自身の科学観は旧来の因果的な世界観を色濃く帯びたものであり、量子力学などの新しい自然観の発展に必ずしも十分に対応できるものではなかったことを明らかにした。
4.近代科学の歴史において実験器具の果たした役割に注目した研究をおこない、その成果を一般の方にも理解してもらうために、具体的な展示作業を実現する努力を行った。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
岡本 拓司 | 東京大学 | 大学院・総合文化研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】3,300千円 (直接経費: 3,300千円)