中枢神経系における障害された神経機能再生の試み
【研究分野】脳神経外科学
【研究キーワード】
Central nerdous system / regeneration / astrocyte / neuro trophic factor / cytokine / isohemia / adenosine / dopamine / Central nervous system / neurotrophic factor / ischemia / neuralregeneration / brain isdemia / hypothermia / oytokine / 神経栄養因子 / 神経成長因子 / アストロサイト / サイトカイン / 神経再生 / 脳虚血 / ドパミン / アデノシン
【研究成果の概要】
一旦、障害が起こると再生が起こりにくいとされる中枢神経系の機能再生を最終目的として、基礎研究を行ってきた。まず、神経系固有の間質であり、様々なメカニズムにより神経細胞栄養効果を有するアストロサイトに注目し、ラット脳の組織培養系での研究を行った。その結果、IL-1などのサイトカインにより活性化されたアストロサイトは、脳幹部コリン作動性神経細胞に作用する未知の神経栄養因子を産生することが明かとなり、この因子はヘパリン親和性で、分子量は約40〜60kDaであることが判明した。また、アストロサイトには18、22、24-kD bFGF isoformが発現しているが、IL-1βなどのcytokineは、アストロサイトにおける22、24-kD isoformの発現を選択的に増強することが判明し、発現量が増加したbFGFは、細胞質から核内へと移行することが確認された。また、アストロサイトから22-kD isoformが細胞外に放出されることが示された。さらに、アストロサイトからCNTFが細胞外に放出されることが示され、サイトカインはCNTFの発現を増強する作用はないが、アストロサイトからのCNTFの放出量を増加させることが判明した。ラット前脳虚血モデルにおいて微小透析法により検討した結果、線条体においてアデノシンの細胞内取り込み阻害剤であるpropentofylline(HWA285)は虚血早期に細胞外アデノシン濃度を上昇させ、前脳虚血によるドパミン放出を抑制し、虚血によるか興奮を抑制することが判明し、さらにpropentofyllineがアデノシンの作用を増強し、虚血後のドパミン代謝の改善を促進することが判明したことから、アデノシンがラット線条体において神経細胞保護効果に関与している可能性が示唆された。これらの結果は、中枢神経ヶの再生促進のメカニズムの一部を明らかにしたものである。
【研究代表者】