大動脈瘤の進展予測における核医学の有用性の検討
【研究キーワード】
PET / Aortic aneurysm / NaF / FDG / 大動脈瘤 / CT / 石灰化 / 微小石灰化 / PET/CT / 分子イメージング
【研究成果の概要】
大動脈瘤は、突然破裂し死亡率は高いが、増大や破裂を予測する検査は今のところ確立されていない。我々は、同じく炎症を背景とする動脈硬化症において、心血管イベントの予測に核医学的評価(PET/CT)が有益であることを示してきた。本研究では、大動脈瘤動物モデルを用いて、トレーサーの取り込み、動脈径・石灰化を経時的変化を観測し、その有用性を検討した。主にマクロファージ活性を反映するFDG取り込みは比較的早期に対照群と同レベルまで低下したのに対し、微小石灰化を反映するNaFの取り込みは遷延し、対照群よりも高いレベルを維持した。FDG・NaFの初期の取り込みは、最終週の大動脈の大きさと相関した。
【研究の社会的意義】
大動脈瘤は、突然破裂し死亡率は高いが、増大や破裂を予測する検査は今のところ確立されていない。血管径の増大から破裂の確率を推定するに留まる。同じ血管径でも、どの症例が破裂するか予測する検査が必要である。大動脈瘤の動物モデルを用いた今回の検討では、大動脈瘤の進展予測にFDG・NaFを用いた核医学的評価(PET/CT)が有益であることが示された。今後は臨床研究に発展させ、実臨床において同様にFDG・NaFを用いた核医学的評価(PET/CT)が有益かを検討していく。もし、臨床においても同様の結果が示されれば、患者ごとにより適した治療法が導きだされ、大動脈瘤の死亡率低下に寄与すると考えている。
【研究代表者】