数理学的解析による膵癌個別化治療の提案
【研究キーワード】
数理腫瘍学 / 膵癌の数理モデル / 膵癌 / 数理モデル / 個別化治療
【研究成果の概要】
米国マサチューセッツ総合病院での1088症例の経時的膵癌体積データを用い、(1)膵癌増殖様式と腫瘍細胞増殖率を推定し、(2)膵癌進展の数理モデルを構築した上でモデルの妥当性を検証し、(3) 進展形式(広範囲転移型とオリゴ転移型)を考慮した治療計画を検討する。
1万回以上(1万症例に相当)のシミュレーション結果をもとに、遺伝変異情報や推定された癌細胞増殖率、各症例の臨床情報を基に、進展形式(広範囲転移型とオリゴ転移型)の予測因子を解析している。
診断時の臨床情報もしくは遺伝変異情報にて、局所重点的治療が有効なオリゴ転移の症例の示唆を行うため、オリゴ転移型に対する試験デザインを組んでいる。オリゴ転移型の予測因子の陽性群・陰性群を準備し、続いて各群に対して標準治療および試験治療(局所重点的治療)を加え、予後比較を行う。コンピュータ上で臨床試験を実行し、予測因子の妥当性および試験的治療の有効性を調べている。
また、当研究から派生したプロジェクトとして、腫瘍細胞と転移能力を獲得した変異細胞がGomperts増殖様式にて増殖進展する数理モデルでの近似式作りにも取り組んでいる。平衡状態でのTransition probabilityは、各細胞の増殖と死亡が均衡し得る点を組み込んで、環境収容力を近似式で表す方法を模索している。当プロジェクトにおいては、国内共同研究者を訪問し検討を進めている。更に研究実績として今年度は、同様の数理的手法を用いて、腫瘍細胞の悪性転化を防ぐための最適化治療を提案する論文として、Aoki et al, Can Res, 2021の出版に成功した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
新井田 厚司 | 東京大学 | 医科学研究所 | 講師 | (Kakenデータベース) |
内山 和久 | 大阪医科薬科大学 | 医学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)