In vivo electroporationによる血管壁への遺伝子導入法の開発とその応用
【研究分野】外科学一般
【研究キーワード】
electroporation / plasmid DNA / 遺伝子導入
【研究成果の概要】
本研究ではin vivo Electroporation法を開発するこで、血管壁に容易にまた効率よくplasmid DNAを導入するシステムを構築することを目的として行ってきた。Electroporation法は細胞を電気刺激することで細胞膜構造を一過性に可逆的に変化させ、plasmid DNAの細胞内への取り込みを促進させる方法であり、in vitroで細胞に遺伝子を導入する方法としては一般的である。プレート型溝型電極を用いて血管壁外膜側から遺伝子導入を行う場合、至適条件はplasmid濃度を400μg/mlで電圧30V電圧幅20msecであることが判った。さらに血管壁に接した電極の縁に沿ってもっとも遺伝子が血管壁に導入されることが判明した。またシュミレーションモデルやoptical mapping(血管壁にかかる電場を視覚化する実験)による実験にて、血管壁の電極に接した部位で電場が一番強いことがわかった。これにより血管壁の電極に接した部位の強い電場によって遺伝子が多く導入されたと考えられた。この結果を基に、5mm^*1mmの平板電極を二枚並行に並べたmultiplate電極を作成し、一枚のmonoplate電極のものとluciferase発現遣伝子を用いて導入量を比較した。これによりmultiplate電極において有意に多くまた安定的に遺伝子が導入されていた。
さらにelectroporationを行うときの血管壁に流れる電流と遺伝子導入量を比較し検討した。これにより、ある電流量で最も多く遺伝子が導入され、これよりも電流量が少なくてもまた多くても遺伝子導入量が減少した。これにより電流を測定することで、遺伝子導入を行う際のモニターリングになると考えられた。これらの結果より血管壁へelectroporation法を用いて遺伝子導入する際の至適条件が判明し、また電極形状を工夫し、電流をモニターリングすることで血管壁への遣伝子導入の部位や導入量のコントロールが可能かもしれないことが考えられた。
【研究代表者】