間葉系幹細胞/間質細胞株(ASCL)による肝虚血再灌流障害の抑制と肝移植への応用
【研究キーワード】
再生医療 / 間葉系幹細胞 / 虚血再灌流 / 肝移植 / 肝虚血再灌流血流障害 / ASCL
【研究成果の概要】
ラット肝虚血再灌流モデル(70%虚血)において、虚血開始24時間前にコントロール(生理食塩水)、ASC、ASCLをそれぞれ脾臓注入したモデルを作成した。120分虚血後の生存率は、無治療のコントロール群と比べ、ASCL又はASCの前投与群では生存率が有意に上昇していた。60分虚血後のAST/ALT値は、再灌流3時間後ではASCL群はコントロール群と比較し有意に低下し、24時間後も同様に低値であった。HE及びTUNEL染色ではコントロール群と比較し、ASCL及びASCs群ではアポトーシスと組織障害が明らかに軽減した。肝組織障害をSuzuki scoreで定量化:コントロール群に比し、ASC及びASCL群では有意にスコアが低下した。肝臓組織のPCR検査値においいてASCL群では、TGF-β,IL-10, IL-1Raの遺伝子発現量が有意に上昇し、IL-6の遺伝子発現量は有意に減少を示した。血清のELISA測定において ASCL群ではTGF-β,IL-10の濃度が上昇し、IL-18の血清濃度はコントロール群より有意に減少を示した。肝臓組織のタンパク発現(Western blot法)においてASCL群では、NLRP3, cleaved Caspase-1, IL-1β, IL-18の蛋白量発現量が低下した。以上より、ASCLはin vivoにおいても抗炎症性サイトカインを発現することにより、虚血再灌流障害を抑制する可能性が示唆された。今後はラット肝移植モデルを作成し、同様の実験を行う予定である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
松原 由美子 | 慶應義塾大学 | 医学部(信濃町) | 特任准教授 | (Kakenデータベース) |
福田 和正 | 慶應義塾大学 | 医学部(信濃町) | 特任講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)