リン酸化プロテオーム解析による白血病細胞のリン酸化異常の解明および治療への応用
【研究分野】小児科学
【研究キーワード】
小児腫瘍学 / 癌 / 生体分子 / プロテオーム / リン酸化 / 白血病
【研究成果の概要】
種々の病型の白血病細胞株(25 種程度)およびレトロウィルス感染系を用いてBCR-ABL を導入したマウス骨髄細胞のトリプシン消化物から、HAMMOC法を用いてリン酸化ペプチドを濃縮し、LC-MS/MS法によりリン酸化タンパク質の同定ならびにリン酸化部位の同定を行った。その結果、BCR-ABL陽性細胞において4500以上のリン酸化部位を同定した。BCR-ABL陰性の白血病細胞株を並べて解析すると、BCR-ABL陽性細胞群から検出したリン酸化蛋白質はクラスターを形成することから、BCR-ABLによって特異的なリン酸化シグナル伝達ネットワークが生じることが示唆された。さらに、BCR-ABL陽性細胞にチロシンキナーゼ阻害薬であるイマチニブを添加すると、(1)Ras/MAPK経路の活性化に関与するSHC1蛋白質のリン酸化が抑制されること、(2)自身の活性化を制御する転写因子ATF-2リン酸化が抑制されることが明らかになった。
【研究代表者】