原因腸内細菌抗原特異的自己免疫慢性大腸炎モデルと発症抑制プロバイオティクスの開発
【研究分野】消化器内科学
【研究キーワード】
細菌 / 生体分子 / トランスレーショナルリサーチ / 免疫学 / 炎症性腸疾患 / メモリー細胞 / マウス大腸炎モデル / プロバイオティクス / 自然免疫 / 制御性T細胞
【研究成果の概要】
炎症性腸疾患慢性化永続化における腸内細菌の関与を追究する目的にてCD4^+CD45RB^<high>細胞を免疫不全マウス(Rag-1^<-/->マウス)へ移入する慢性大腸炎モデルを用いて追究した。
(1)炎症大腸局所には腸炎惹起性CD4^+ CD44^<high> CD62L^-IL-7R^<high>メモリー細胞が存在し、再びSPF-Rag-1^<-/->マウスに移入すると大腸炎を再び発症したが、無菌-Rag-1^<-/->マウスでは発症しなかった。
(2)(1)にて腸炎発症(-)の腸炎惹起性免疫メモリー細胞移入無菌-Rag-1^<-/->マウスには、脾臓、リンパ節、骨髄にCD4+メモリー細胞が腸炎発症(+)の移入SPF-Rag-1^<-/->マウスに比し少数(20-35%)ながら存在していた。
(3)(2)(1)にて腸炎発症(-)の腸炎惹起性免疫メモリー細胞移入無菌-Rag-1^<-/->マウスをSPF環境下へ移行すると短期間に再び類似大腸炎を発症した。
(4)MyD88欠損CD4^+CD45RB^<high>細胞移入したSPF-Rag-1^<-/->マウスは正常マウスCD4^+D45RB^<high>細胞を移入したマウスに比し優位に腸炎の発症が軽度であった。
以上の結果より、腸炎惹起性CD4^+メモリーT細胞は腸内細菌のTLR刺激による直接的なシグナルによって調整を受けるものの、無菌下においても生存し得ることを明らかとした。このことは腸炎惹起性免疫メモリー細胞は腸内細菌以外の因子(例えばIL-7)によって生体内で維持される機構の存在が示唆された。さらに、いかなる腸内細菌が大腸炎慢性化に関わり、いかなる腸内細菌が大腸炎抑制に関わるかを追究することにより今後の炎症性腸疾患の治療戦略において極めて重要と考えられた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
東 みゆき | 東京医科歯科大学 | 大学院医歯学総合研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
日比 紀文 | 慶應義塾大学 | 医学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】11,400千円 (直接経費: 11,400千円)