ヒト胚性幹細胞由来血管前駆細胞を用いた血管発生分化機構の解明と血管再生医学応用
【研究分野】循環器内科学
【研究キーワード】
ヒトES細胞 / 再生医学 / 前駆細胞 / 内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / VEGF / ナトリウム利尿ペプチド / アドレノメジュリン / ES細胞 / 再生医療 / 血管再生 / 血管新生
【研究成果の概要】
1.ヒトES細胞からの血管前駆細胞の同定:
ストローマ細胞株(OP9細胞)と共培養することで、Flk1^+TRA1^-VEcadherin^-PDGFRβ^+の細胞が分化誘導され、この細胞群が血管前駆細胞(VPC)の特性を有していた。
2.血管ホルモンの血管再生作用の発現とその分子機構の解析-血管再生への応用
2-a.発生工学的手法によるナトリウム利尿ペプチドの血管再生作用の発見と遺伝子治療への応用:ナトリウム利尿ペプチド(NP)システムの種々の遺伝子変異動物およびアデノウィルスを用いた遺伝子導入により、NPの血管再生作用を発見した。2-b.アドレノメジュリンの障害内皮再生作用及び血管再生作用の発見とその分子機構の解析:NPと同様に血管拡張作用を有するアドレノメジュリン(AM)がcAMP/プロテインキナーゼAの活性化と、PI_3キナーゼ/Akt系の活性化により血管再生作用を発揮することを明らかにした。また、AM単独過剰発現トランスジェニックマウスを開発し、in vivoでのAMの血管再生作用を証明した。2-c.アドレノメジュリンによるES細胞由来血管前駆細胞からの内皮細胞分化誘導作用の発見:AMがVEGFと協調し、マウスES細胞由来VPCの内皮細胞への分化を強力に促進することを明らかにした。
3.ヒトES細胞由来血管前駆細胞の生体移植とその治療応用の検討:
ヒトES細胞由来VPCより分化された発生初期内皮細胞および血管平滑筋細胞の生体移植により、皮膚潰瘍モデルおよび閉塞性動脈硬化モデルにおいてヒト血管が効率よく構築され血流回復治療効果が認められた。
4.ヒトES細胞由来血管前駆細胞を用いたヒト血管発生分化関連遺伝子発現のジーンプロファイリングとデータベース構築:
ヒトES細胞由来VPCを用いて、マイクロアレイ法にてヒト血管発生分化誘導に関与する遺伝子群を網羅的に解析し、データベースを構築することを試みた。
5.マウスES細胞由来VPCの人工血管への播種と拍動流負荷による血管細胞への分化誘導の試み:
ポリウレタン性多孔性の生体移植用の人工基材を開発し、マウスES細胞由来VPCを回転培養にて播種し、拍動流負荷装置で還流刺激を加えたところ、VPCはずり応力により内皮細胞が分化し、さらに伸展刺激により血管平滑筋細胞が分化増殖した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山下 潤 | 京都大学 | 再生医科学研究所 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
中山 泰秀 | 国立循環器病センター研究所 | 室長 | (Kakenデータベース) |
仁藤 新治 | 田辺製薬(株) | 創薬研究所 | 主任研究員 |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】45,500千円 (直接経費: 35,000千円、間接経費: 10,500千円)