エンドセリン遺伝子の発生工学的操作による血管形成・リモデリング機構の解明と応用
【研究分野】循環器内科学
【研究キーワード】
エンドセリン / ジーンターゲティング / 血管形成 / 血管リモデリング / トランスジェニックマウス / 遺伝子導入 / 組織特異性 / 遺伝子治療
【研究成果の概要】
血管形成・リモデリング機構の解明のため、本研究ではまず、血管系特異的な遺伝子発現系の確立を目的とし、エンドセリン-1(ET-1)遺伝子プロモーター領域を用いた血管壁選択的遺伝子発現トランスジェニックマウスを作成した。
1.エンドセリン-1(ET-1),アドレノメデュリン(AM)過剰発現マウス:ET-1過剰発現マウスの組織・血中ET-1濃度は野生型マウスの2〜4倍で、低体重と体毛の減少を認めたが、無麻酔無拘束下またはウレタン麻酔下での観血的動脈圧は野生型に比べ差はなく、生理的にみられる程度のET-1の産生増加は、慢性期では血圧レベルに影響しないと考えられた。AM過剰発現マウスのうち1系統は、大動脈AM濃度は野生型マウスの約10倍であった。
2.血管系選択的コンディショナル遺伝子発現マウス:テトラサイクリン反応性オペレーター遺伝子配列(tetO)にレポーター遺伝子(LacZ)を結合したコンストラクト(A)、ET-1プロモーター領域9.2kbにテトラサイクリンプレッサー蛋白(tetR)とVP16C末転写活性化領域の融合蛋白を結合したコンストラクト(B)をそれぞれ作成し、A・Bそれぞれより各々複数のラインを得た。tetOによるLacZ発現をin vitroで確認した後、現在それぞれの系の交配を進め、両方のコンストラクトが組み込まれたマウスの樹立行っている。
以上から、この血管壁遺伝子発現系による遺伝子発現は生理的産生量に匹敵もしくは凌駕するレベルを示し、血管系における遺伝子機能解析への高い応用性が示された。さらに、コンディショナル遺伝子発現系の応用により、血管系でのテトラサイクリンによるON-OFFの調節が期待される。現在、ウイルス系ベクターを用いた遺伝子導入へ向けての準備を進めている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
桑木 共之 | 千葉大学 | 医学部 | 講師 | (Kakenデータベース) |
新藤 隆行 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 医員 |
森田 啓行 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 医員 |
栗原 由紀子 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 医員 |
前村 浩二 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1996 - 1997
【配分額】7,700千円 (直接経費: 7,700千円)