糸球体上皮細胞シグナル伝達系のプロテオミクス解析による蛋白尿発症機序の解明
【研究分野】小児科学
【研究キーワード】
小児腎 / 泌尿器学 / 腎臟 / 蛋白尿 / 糸球体上皮細胞 / Nephrin / TRPC6 / 腎臓 / チロシンリン酸化 / シグナル伝達
【研究成果の概要】
腎糸球体濾過機能におけるバリアー機能は糸球体上皮細胞間の細胞接着装置であるスリット膜構造が担っている。最近ではNephrinやNeph1といったスリット膜を構成する蛋白質が同定され、その分子構造が明らかになってきており、さらにNephrinやNeph1がその細胞内領域がチロシンリン酸化により修飾を受けることが報告されている。本研究ではプロテオミクス技術を用いてNephrinのリン酸化によって制御されるスリット膜構造のダイナミクスを網羅的に解析し、それが糸球体上皮細胞の機能、構造にどのような影響をあたえるか、さらにNephrinを発端とするシグナル伝達系の破綻がいかに蛋白尿の発症に関わっているかを検討した。その結果Nephrinの細胞内領域のチロシンリン酸化によりPLC-γ1を含む種々のアダプタータンパク質が細胞膜表面にリクルートされ、Nephrinがカルシウムシグナル等のシグナル伝達を行うプラットフォームとして機能する機構が明らかになった。これらの結果は糸球体上皮細胞のバリアー機能を担うシグナル複合体としてのスリット膜の新たな役割を提示するものとなった。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2008 - 2009
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)