本邦における脳梗塞関連遺伝子座と臨床的特徴に関する検討
【研究キーワード】
脳血管障害 / ゲノム解析 / BBJ / バイオバンクジャパン / ゲノム疫学研究
【研究成果の概要】
MEGASTROKE研究は世界各地29の共同研究グループからなる脳血管障害のゲノムワイド関連解析(GWAS)である。最終的に67162例の脳血管障害患者のゲノム解析が行われ日本からはバイオバンク・ジャパン(BBJ)(16256例)も参加し、32の脳梗塞感受性遺伝子座位が明らかになった。また脳梗塞病型と遺伝子座の関連では心原性脳塞栓症では心房細動の強力な感受性遺伝子であるPITX2遺伝子と関連があり、アテローム血栓性脳梗塞ではEDNRA遺伝子やHDAC9-TWIST遺伝子と関連があった。MEGASTROKE研究により脳梗塞のsubtypeと疾患感受性遺伝子座が明らかになってきたが、臨床転帰や画像所見との因果関係は不明である。
本研究ではBBJに登録された脳梗塞症例を大規模集団、中規模集団、小規模集団に分けて各集団で独自のエンドポイントを設定して、本邦における脳梗塞関連遺伝子座と臨床的特徴の関連を解明する。
大規模集団ではBBJで登録された約20000症例の脳梗塞関連遺伝子のゲノタイプ情報を基盤として、全死亡および心血管死に関するweighted genetic risk scoreを作成し、累積死亡率との関連を検討する。中規模・小規模集団の解析は日本医科大学各施設でBBJに登録された脳梗塞症例の詳細な臨床情報や画像所見を追加収集し評価を行う。中規模集団では脳梗塞病型と関連の高い遺伝子座と頭部MRI画像所見、脳梗塞重症度との因果関係を検討する。小規模集団の検討として、遺伝性小血管病であるCOL4A1/COL4A2関連疾患の遺伝子変異に着目した。現在ゲノムおよび臨床情報を東京大学医科学研究所より提供されており解析を行っている。本研究概要に関してはSTROKE 2022 Web liveシンポジウム 脳卒中のゲノム解析で発表を行った。
【研究代表者】