婦人科重複癌および再発癌の三次元的ゲノム発現解析による発癌機序と治療法の探索
【研究キーワード】
卵巣癌 / 重複癌 / 相同組み換え修復欠損 / マイクロサテライト不安定性 / PARP阻害剤 / 微小残存腫瘍 / ゲノム解析 / 婦人科重複癌 / 再発癌 / MSI / Tumor mutation burden
【研究成果の概要】
本研究の目的は、MSI-H(高マイクロサテライト不安定性)やHRD(相同組み換え修復欠損)のような、治療選択に使用され、かつLynch症候群や遺伝性乳癌卵巣癌症候群などの遺伝性腫瘍にも認められる特徴に着目して、3次元的(遺伝背景別・臓器別・時間別)に腫瘍のゲノム変異、腫瘍免疫関連タンパクの発現などを比較解析することにより、特に子宮体癌、卵巣癌の発癌、再発機序の解明、新規治療法の開発などに繋げることを目的としている。
本年度はまず、ペンブロリズマブのコンパニオン診断として用いられるMSI-Hに注目し、単施設99例のMSI検査施行者のデータを収集した。MSI-Hは婦人科癌において3/99(3.0%)で陽性であり、子宮体癌としては11.5%(3/26)、子宮体癌卵巣癌の重複例を含め卵巣癌で2.6%(1/38)、その他子宮頸癌などではMSI-Hは認められなかった。この婦人科癌におけるリアルデータをまとめ論文として公表した。MSI-Hを認める症例においては、その要因となるミスマッチ修復(MMR)機構の欠損を確認するため、MMRタンパクの発現および腫瘍免疫関連タンパクとしてPD-1, PD-L1, CD8などの免疫染色を行っている。特に再発例で腫瘍摘出を行い、ペンブロリズマブの使用症例は、初発巣および再発巣間でMMRタンパクや腫瘍免疫関連タンパクの発現を比較解析し、その発現の変動や治療効果との関連を解析している。
また、HRD検査を施行している症例で、特に進行例で化学療法前生検(Lap生検)を行い、術前化学療法後に根治術(IDS: interval debulking surgery)をおこなった症例では、Lap生検検体とIDS時の残存病変(MRD:minimal residual disease)からゲノムDNAを抽出し、全ゲノムシークエンス解析をおこなっている。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2021-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)