遺伝子導入細胞を用いた新たな血小板抗体検査法の開発
【研究分野】病態検査学
【研究キーワード】
HPA抗原 / 抗HPA抗体 / 遺伝子導入細胞 / HPA / 遺伝子導入 / xMAPテクノロジー / 免疫血清学
【研究成果の概要】
ヒト血小板特異抗原(human platelet antigen; HPA)に対する同種抗体は、新生児血小板減少症や血小板輸血時の副作用である血小板輸血不応の発症に関与し、時に脳内出血といった重篤な合併症をおこすため原因抗体の同定が必須である。
本研究では、レトロウイルス発現系を用いてヒト白血病細胞株にHPA抗原を強制発現させたHPA遺伝子導入細胞を樹立した。樹立したHPA遺伝子導入細胞を用いて複数の抗HPA抗体検査法の条件設定について検討し、その有用性を確認した。
本研究で樹立したHPA遺伝子導入細胞は、抗HPA抗体検出において検査法の有用なツールとなることが示された。
【研究の社会的意義】
現在、複数の抗HPA抗体検出法が存在するが、何れの方法も末梢血より血小板を採取する必要がある。また、発現するHPA抗原の種類は、個人で異なるため検査毎に特異性既知の血小板を数名のドナーから採取する必要がある。さらに、被検血清中の抗A、抗B抗体や抗HLA抗体により、目的とする抗HPA抗体検出が困難となる場合がある。上記問題を解決するには、特定のHPA抗原のみを強制発現する不死化細胞を検査に用いることが望ましい。本研究において樹立したHPA抗原を強制発現した遺伝子導入細胞は、抗体検出法においていつでも利用可能な標準細胞になり、世界的にも多くの研究者がその検出に苦慮している現状において有用である。
【研究代表者】