腎癌幹細胞ニッチを掌握する解析基盤の構築とがん組織不均一性の理解
【研究キーワード】
腎細胞癌 / 分子標的治療 / 免疫治療 / イメージング / シークエンス / 免疫療法 / RNAシークエンス / ライトシート顕微鏡 / 腫瘍内不均一性 / 免疫微小環境 / 膨張顕微鏡法 / 循環腫瘍細胞 / がん組織不均一性
【研究成果の概要】
本研究で我々は、癌幹細胞やその癌幹細胞が生息する「立体的な癌幹細胞ニッチ」の解明に必要な研究基盤を整備した。①マウス腫瘍由来の「細胞単離→シングルセルRNAシークエンス」プロトコールは、ヒト腫瘍でも応用可能と考える。マウス腫瘍を最新のICELL8 cx Single-Cell System を利用し、8000を超える細胞のシークエンスを実装した、②独自のイメージング技術:DIIFCO法を臨床組織で実装し、癌幹細胞が生息するニッチ構造を3次元で可視化した、③多重免疫染色法を駆使した最新のsingle-cell pathologyで、臨床の腎細胞癌免疫微小環境を1細胞レベルで可視化した。
【研究の社会的意義】
癌幹細胞を頂点とする細胞階層性が紡ぎ出す「がん組織多様性」をいかに克服するか、これが近年の癌研究における課題である。分子標的治療・免疫療法後に生き永らえる癌細胞はどのクローン(癌幹細胞)に由来し、どこ(どのような癌微小環境)に生息するのであろうか?治療耐性を促す癌幹細胞が生息するニッチ構造を、3次元で明らかにすることは、癌根絶に繋がる糸口であり、社会的な波及効果は大きい。今後も新規イメージングの臨床応用を視野とした基盤整備を進めるが、本研究で得られるイメージング技術の知見は、最終的にシングルセルRNAシークエンスと融合するためのプロトコール開発に繋げ、癌幹細胞ニッチの同定に活用したいと考える。
【研究代表者】