視床下部NPY・BDNFニューロンの入出力系と摂食・代謝調節機構の解明
【研究分野】生理学一般
【研究キーワード】
摂食 / グルコース / NPY / BDNF / CRH / ウロコルチン / グレリン / レプチン / 弓状核 / NPYニューロン / Ca^<2+> / レぷちん / 室傍核
【研究成果の概要】
Neuropeptide Y(NPY)ニューロン、Brain-derived neurotrophic factor(BDNF)ニューロンの入出力系を解析した。摂食亢進系の代表である視床下部弓状核のNPYニューロンはグレリンにより活性化され、レプチンにより抑制された。さらに、グレリンによる活性化にレプチンは拮抗し、そのレプチン効果はPI3 kinase-PDE3シグナル伝達によっていた。両ホルモンの作用が統合されてNPYニューロン活動が規定され、その結果、摂食行動が規定されることが明らかとなった。さらに、2型糖尿病GKラットは若年(6-14週令)過食を示すこと、その原因がレプチン抵抗性による弓状核NPYの発現亢進によることを見出し、NPYニューロンの摂食出力の病態生理学的意義を明らかにした。一方、背内側核のNPYニューロンはガラニン様ペプチド(GALP)により活性化され、摂食行動促進に出力されることが明らかとなった。
BDNFの脳室内投与は室傍核のCorticotropin-releasing hormone(CRH)、Urocortinの発現を上昇させ、主にCRH-R2を介して長期的な摂食抑制とエネルギー消費促進を起し、その結果体重を減少させることが明らかとなった。さらに、新規の脂肪-脳軸の摂食抑制物質であるNesfatin-1が、視床下部室傍核に局在し、その一部はCRHニューロンと共存することを見出し、室傍核BDNF-CRH系の新規調節因子として機能する可能性が示唆された。
【研究代表者】