褐虫藻を起点としたサンゴ礁生態系の新しい食物網ルートの提案
【研究キーワード】
褐虫藻 / サンゴ礁生態系 / 食物網ルート / 海洋生態 / 生物圏現象
【研究成果の概要】
サンゴから放出された褐虫藻がサンゴ礁の動物プランクトンに直接捕食される食物網ルートはないだろうか。褐虫藻の持つ特徴的な化合物をマーカーにして、動物プランクトンが褐虫藻を捕食した痕跡を探ることを考えた。様々な褐虫藻培養株の持つ代謝物を分析し、サンゴから単離したSymbiodinium microadriaticumの培養株が持つホモトリゴネリンをマーカー候補物質とした。サンゴの多い場所とサンゴ礁の沖合で採取した動物プランクトンのホモトリゴネリン量はサンゴの多い場所の方が多かった。今後より詳細な検証が必要であるが、これは動物プランクトンが褐虫藻を捕食した痕跡かもしれない。
【研究の社会的意義】
食物網における生物のつながりを明らかにする場合、安定同位体を用いたアプローチが一般的であるが、本研究では特定の生物が持つ特徴的な化合物をマーカーとして利用することができないかと考えた。実際にサンゴが多い場所の動物プランクトンから褐虫藻マーカー候補物質のホモトリゴネリンが多く検出された。本研究ではマーカー候補物質として一つの化合物に焦点を当てたに過ぎないが、特徴的な化合物をマーカーとして利用できる可能性を示すことができ、新たな研究手法につながる糸口となった。
【研究代表者】