集団ゲノミクスを用いた社会性進化の解析
【研究キーワード】
社会性昆虫 / 進化 / 集団ゲノミクス / アブラムシ / 血縁選択 / 社会性アブラムシ
【研究成果の概要】
社会性の進化に関わるゲノム領域を特定することは、その進化の法則を探る上で重要である。昆虫を始めとした社会性生物では、多様な種におけるゲノム解読が進んでいるものの、集団間にはたらくゲノムレベルでの自然選択の検出に関しては、解析が不十分である。本研究課題では、社会性アブラムシにおいて複数集団・複数個体の全ゲノム配列を取得し、集団の歴史を考慮した集団ゲノミクス解析を行うことで、社会性進化に関与したとされるゲノム領域を特定する。
2021年度は、日本国内に分布するボタンヅルワタムシColophina clematisを対象とし、関東(東京・神奈川・埼玉)、広島、盛岡の地域集団において、1次宿主植物世代・2次宿主植物世代から採集を行い、その中の遺伝的に異なる16個体からDNAを抽出し、ライブラリーを調製後、全ゲノムのリシーケンス解析を行った。得られた塩基配列情報から集団内のSNPデータを取得し、集団構造・動態の推定をおこなった後に、関東集団内の個体を対象に、ゲノム全体における連鎖不平衡の程度を調べた。その結果、10kb離れた2領域間の相関係数はほぼランダムな期待値と同じとなり、組み換えによって連鎖不平衡が減衰することがわかった。また、ゲノム全体において塩基多様度・Tajima’s Dなどの要約統計量およびハプロタイプの推定を行い、自然選択がはたらいた可能性があるゲノム領域を同定し、選択の標的候補である近傍の遺伝子を探索した。加えて、野外調査によって、社会性アブラムシ複数種の地域集団サンプルを取得した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
印南 秀樹 | 総合研究大学院大学 | 先導科学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)