自然環境下のオゾン濃度の漸増が熱帯季節林の水利用効率に及ぼす影響の解析
【研究キーワード】
オゾン濃度 / CO2濃度 / 水利用効率 / 熱帯季節林 / 二酸化炭素 / オゾン / スギ・ヒノキ林 / オゾン濃度計 / 比較試験
【研究成果の概要】
熱帯季節林の水利用効率の季節・年々変動を観測するために、二酸化炭素・水蒸気交換量に加えて、水利用効率の長期変化に大きな影響を及ぼし得る大気中のオゾン濃度の観測に着手した。具体的には、比較的大型で測定値が安定していると考えられるオゾン濃度計と、バッテリー駆動が可能で商用電源のない熱帯の観測現場への設置が容易な可搬型のオゾン濃度計を入手し、国内のスギ・ヒノキ林でこれらの比較試験を実施した。先ず、2台の機器について室内実験を行って、両者の動作方法と出力信号の挙動を把握した。さらに、機器への気体採取・吸引のためのチューブの長さを短くして結露などを回避することを念頭に、両者を観測対象高度に近い森林の樹冠上(高さ33m)に運搬し、観測タワー上の防水ボックス内に設置して、比較試験のための稼働を開始した。これまでのところ両者によるデータ取得は順調に進んでおり、本来室内に設置する仕様のオゾン濃度計を、樹冠上に設置したままで連続運転させることに成功している。
また、コロナ禍で渡航が困難となったカンボジア国での観測現地の状況を把握するために、既存機器のデータ回収とプロットのメンテナンスをカウンターパートに依頼し、機器の稼働状態や電力の供給、観測値周辺の森林の状態に関する情報を得た。その結果、超音波風速温度計とそれに付随する記録計は稼働を続けており、太陽電池やバッテリーの劣化は最小限に済んでいることが確認できた。一方、断線やデータ収録媒体の容量不足などにより、多くのデータに欠測が生じていたほか、観測タワー周辺の森林で倒木が増えてきていることが把握できた。
【研究代表者】