ヒト嗅粘膜組織を用いた神経性嗅覚障害の病態の解明
【研究キーワード】
嗅粘膜 / 蛍光プローブ / 嗅覚障害 / 鼻粘膜 / 嗅上皮 / イメージング / 鼻科学 / 神経性嗅覚障害
【研究成果の概要】
ヒトの嗅覚障害は原因が不明であり、嗅覚機能および嗅覚器の状態を正確に把握できる方法はない。本研究では嗅粘膜を特異的に標識する蛍光プローブを確立し、嗅粘膜の状態を直接観察し把握できることを明らかにした。ヒトの嗅粘膜に優位に発現しているCYP2A6およびγGGTという2つの酵素を抽出し、その基質であるCoumarinおよびgGlu-HMRGという2つの分子に着目をした。これらは嗅粘膜の支持細胞で代謝され、その代謝産物が蛍光を発する性質を利用し、嗅粘膜を特異的に描出した。さらに嗅粘膜障害モデルでの検討では、これらのプローブは無神経化した嗅上皮は描出しないが、再生した嗅粘膜は描出をした。
【研究の社会的意義】
これらのプローブが将来的にヒトでの応用が可能となった場合、内視鏡下の観察により嗅粘膜の状態を観察できるようになる。このことは嗅覚障害の疾患分類そのものを変え、嗅覚診療の大きな変換点となる可能性がある。さらにこの嗅粘膜特異的プローブにより嗅粘膜を直接可視化できるようになることは、耳鼻咽喉科診療で行われている内視鏡下鼻副鼻腔手術や頭蓋底手術等での有用性も期待される。
【研究代表者】
【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
【研究期間】2018 - 2021
【配分額】15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)