角膜上皮細胞とHGF産生細胞の重合シートの開発と犬角膜損傷に対する移植効果の検討
【研究キーワード】
犬角膜上皮細胞 / 肝細胞成長因子 / 角膜再生医療 / 角膜上皮シート / 間葉系幹細胞 / 犬 / 角膜損傷 / 肝細胞成長因子(HGF) / 再生医療
【研究成果の概要】
今年度は、犬角膜上皮細胞に対する肝細胞成長因子(HGF)の作用を検討するため、犬角膜上皮細胞におけるHGF受容体であるc-Metの発現解析とHGFによる作用の解析を行った。犬角膜上皮細胞のc-Met発現を免疫染色にて解析したところ、比較的肥大した細胞においてc-Metの発現を認めた。小型で増殖している細胞においてはc-Metの発現は低い傾向にあり、c-Metは比較的分化・成熟が進んだ角膜上皮細胞に発現すると考えられた。
次に、c-Metのリン酸化について検討するため、犬角膜上皮細胞を50ng/mLのリコンビナントヒトHGFで刺激をおこなったところ、c-Metのリン酸化は添加後15-30分で亢進した。次に、犬角膜上皮細胞に対するHGFの作用を検討するため、培地に0-100ng/mLのリコンビナントHGFを添加して増殖能に対する影響を検討したが、HGFの添加により細胞増殖能への影響はみられなかった。次に、Migration Assayを行ったところ、50-100ng/mLの濃度で細胞の運動能が有意に上昇することが明らかとなり、HGFは犬角膜上皮細胞の運動能の上昇に寄与することが明らかとなった。したがって、犬角膜損傷において、HGFは角膜上皮細胞の増殖促進には寄与しないが、運動能を上昇させることにより損傷部の上皮化速度が上昇することが期待できた。
また、研究計画を一部変更し、角膜上皮以外に角膜内皮についても研究に取り込むことを目的として、犬角膜内皮細胞の培養に取り組み、犬角膜内皮細胞の培養条件を検討した。培養法の確立には至っていないが、犬角膜内皮細胞の培養が可能であることを確認できている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
藤田 直己 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)