脊椎動物モデルに共通する受精の分子メカニズムの解明
【研究キーワード】
精子膜タンパク質 / 透明帯通過 / 種特異性 / 進化 / 受精膜融合
【研究成果の概要】
本研究では、受精膜融合と異種間受精を制御する精子膜タンパク質の探索と機能解析を目的に、実験動物の小型魚類とマウスを用いて取り組む。研究代表者と若手研究者らがチームを組んで国際共同研究先のウィーンバイオセンターにて小型魚類の解析を行い、その成果を国内でマウス解析へと還元することで、魚類から哺乳類までの脊椎動物間で広く保存される受精の分子メカニズムの解明に挑む。
初年度に引き続き今年度も新型コロナウイルス感染症の影響で、国際共同研究先への訪問研究を中止した。しかし、メールやオンライン会議等で連絡を取りつつ、予定していた解析の一部を完了させた結果、つい最近その成果に関する論文が受理された。また、初年度末に投稿段階まで進んでいた精子膜タンパク質SPACA4に関する論文も発表し(PNAS. 2021)、現在は異種間受精に関する解析を進めている。SPACA4は、魚類ではBouncerと呼ばれ卵子膜に発現するGPIアンカータンパク質で、異種間受精を制御することを共同研究者らが発見した(Science. 2018)。一方、哺乳類SPACA4は精子頭部に局在し、精子の卵子透明帯通過に必要であることをKOマウス解析から明らかにした。次の課題は、SPACA4に対する卵子側因子の同定になるため、前述の異種間受精の解析と並行して行う計画である。魚類では卵子細胞膜、哺乳類では精子膜で発現するユニークなSPACA4/Bouncerが進化の過程でどのようにスイッチしたのかを検証することは非常に興味深いので、脊椎動物モデルを用いて明らかにしたい。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
伊川 正人 | 大阪大学 | 微生物病研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
江森 千紘 | 大阪大学 | 微生物病研究所 | 助教 | (Kakenデータベース) |
櫻井 伸行 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター | 研究所 | 特別研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
【研究期間】2020-10-27 - 2024-03-31
【配分額】18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)