免疫学的アプローチによる消化管運動系の分子制御機構の解明
【研究分野】基礎獣医学・基礎畜産学
【研究キーワード】
消化管 / 運動 / 平滑筋 / マクロファージ / 神経 / カハール介在細胞 / 炎症性腸疾患 / サイトカイン / 消化管運動 / 平滑筋収縮 / 常在型マクロファージ / IBD / 神経機能 / ICC / 肥満細胞
【研究成果の概要】
消化管運動系の異常とマクロファージの関係を様々な炎症病態モデルで検証し、機能異常の分子機序を明らかにしたものである。血管平滑筋と内皮細胞の研究も平行して実施し成果をあげた。
主な研究成果:
1)炎症性腸炎モデルの筋層には肥満細胞の浸潤が観察される。肥満細胞の性質についての検討を加えた。Am J Physiol 286:C256-C263, 2004; J Immunology 174:4584-4589, 2005
2)炎症病態で注目されているプロテアーゼ受容体2(PAR-2)の役割を、潰瘍性大腸炎モデルを用いて証明した。Br J Pharmacol 148:200-2007, 2006
3)カハール介在細胞の機能異常を人工的腸管狭窄モデルを用いて明らかにした。Neurogastroenterology Motility 18, 53-61, 2006
4)カハール介在細胞の機能異常を、虚血再灌流モデルを用いて明らかにした。J Surgical Research 135:255-261, 2006
5)筋層炎症においてもTNFαが最重要サイトカインであることをノックアウトマウスを用いて証明した。Editorial Commentとしても紹介された。Neurogastroenterology Motility 18, 578-588, 2006
6)炎症時のカハール介在細胞の障害が速やかに回復することを、ハプテン腸炎モデルを用いて明らかにした。Neurogastroenterology Motility 18, 1019-1030, 2006
7)CPI-17の発現低下が潰瘍性大腸炎モデルでも起こることを示した。Neurogastroenterology Motility 19, 504-514, 2007
8)カハール介在細胞と神経の機能異常をハプテン腸炎モデルで明らかにした。Histochem Cell Biol 127:41-53, 2007
9)IL-1βによるCPI-17の発現低下作用がTNF□に依存することをノックアウトマウスを用いて証明した。Am J Physiol 292:G1429-G1438, 2007
10)IL-1βは常在型マクロファージに働いてCOX-2とiNOSを誘導し、炎症に伴う平滑筋細胞増殖に負の制御をかけることを証明した。Am J Physiol 292:G1315-G1322, 2007
11)その他、炎症に関連する血管増殖性反応について平滑筋と内皮細胞の形質と機能変化の観点から検討を行った。Am J Resp Crit Care Med 170:647-655, 2004; Arteriosclerosis Thrombosis Vascular Biology 25; 1796-1803, 2005; Arteriosclerosis Thrombosis Vascular Biology 25; 1-7, 2005; Eur J Pharmacol 515, 134-141, 2005他
以上、本研究により腸管の筋層炎症という新しいジャンルの研究を確立できたと考えている。特に消化管平滑筋の収縮機能の変化についての知見は新しく、世界をリードできた研究との自負がある。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
堀 正敏 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2004 - 2007
【配分額】49,790千円 (直接経費: 38,300千円、間接経費: 11,490千円)