戦間期ヨーロッパにおける危機の社会的・文化本位相:ヴァイマル・モデルネと現代
【研究分野】西洋史
【研究キーワード】
ヴァイマル共和国 / ナチズム / モダン / 近代批判 / 近代 / 戦間期 / ヨーロッパ / ヴァイマル / モデルネ / 社会的位相 / 文化的位相
【研究成果の概要】
本科研は、「モデルネ」をキーワードに、戦間期ヨーロッパにおける危機の社会的・文化的位相を検討しようとするものであって、具体的フィールドはヴァイマル共和国に求められた。そこでは、ミッシェルフーコーの影響を受け「モデルネ」を政治的・社会的コンテキストと切り離した「近代」批判の傾向に対}して疑問を呈し、それら「近代」を連続面のみで捉えようとする、ヴァイマル期に関して言えばヴァイマル期とナチズムとの連続性を強調する研究傾向を批判するという問題関心が共有された。
こうした問題関心を確固とするためにハンブルク現代史研究所所長アクセル・シルト氏を招請するなど本科研は国際的交流にも留意したし、日本史現代史を研究する高岡裕之氏らとの学際的交流を通して、日独を比較する比較史をも射程に入れた。
成果は、『歴史評論』2004年1月号に、「『ナチズムと近代』再考」という特集に集約されている。この特集は本科研の中間発表的位置づけを持つものであった。科研の研究分担者は、各人で史料収集や書籍購入を進める一方、5月(西洋史学会)、9月(ドイツ現代史学会)、12月(現代史研究会)、3月(西日本ドイツ現代史学会)を契機に適宜研究会を開催し、研究成果を交流するとともに、そのでの議論を基に各自が各々の論文発表につなげていった。そして問題領域にしても、その後ジェノサイド、医療と女性、「過去の克服」、同性愛、「抵抗」の問題などに裾野を大きく広げていったが、それらの研究の内容と水準は、その領域における最前線に立つものものばかりである。
【研究代表者】