樹木の根からの有機酸の分泌とその意義
【研究分野】林学
【研究キーワード】
根圏 / 有機酸分泌 / 環境ストレス / マメ科樹木 / マツ科樹木 / 外生菌根菌 / 共生
【研究成果の概要】
本研究では、根から根圏への分泌物のうち、特に樹木の土壌環境ストレス耐性と密接に関連すると考えられる有機酸の挙動を明らかにし、さらに共生系が有機酸分泌に与える影響を明らかにすることを目的とした。マツ科のアカマツ(Pinus densiflora)と外生菌根菌のコツブタケ(Pisolithus tinctorius)の共生系を用いて、根圏に放出される有機酸をイオンクロマトグラフィーで調べた。外生菌根菌との共生がない場合には分泌されない、あるいは分泌が少ないピークがいくつかあったが、そのうちの一つはクエン酸のピークだった。しかし、分泌されたクエン酸の根量あたりの量は、外生菌根菌との共生がない場合とある場合で大きな違いはなく、難溶性リン酸塩の可溶化に貢献するものかどうかは明らかでなかった。また逆に、外生菌根菌との共生がある場合に分泌が少ないピークがいくつか認められた。この中にはシュウ酸、リンゴ酸、コハク酸のほか、未同定のピークがあった。アルミニウム過剰やリン酸欠乏のストレスに対する、これらの分泌物質のピークの変動および樹木の成長評価についての実験は現在継続中である。マメ科樹木の土壌環境ストレスに対する反応についての実験は、土壌からの低分子有機酸の回収方法の確立を現在試みているところである。
【研究代表者】
【研究種目】萌芽的研究
【研究期間】1999
【配分額】1,900千円 (直接経費: 1,900千円)