20世紀における日本の水稲品種の生育特性に関するデータベースの構築
【研究分野】作物学
【研究キーワード】
乾物生産 / 形態 / 収量 / 水稲 / 窒素吸収 / データベース / 20世紀 / 品種 / 栽培方法 / 日本 / 光合成速度
【研究成果の概要】
水稲はわが国における基幹作物であり,品種の特性について日本各地で多くの知見が蓄積されている.これらがデータベース化され,簡単に検索できることは,気候変動に対応した品種や栽培方法の開発にとって極めて有用である.そこで本研究では,20世紀に日本で育成された水稲品種の形態,生理,生態的特性に関するデータベースを作成することを目的として,日本各地の研究者が共同して,(1)農林水産省での種苗登録や都道府県での奨励品種決定の際に公表されている形態や栽培の特性,病虫害抵抗性,低温等の不良環境抵抗性および収量と収量構成要素などのデータを,北海道地域で84品種,東北地域で97品種,関東地域で104品種,東海地域で33品種,近畿・中国・四国地域で324品種,九州地域で58品種,計587品種(地域間での重複を除いた数)について収集し,時代や地域によって異なる記載を統一の基準のもとで整理した後に,これらのデータ(全体で10261)を網羅したデータベースを作成し,北海道大学農学研究科のホームページ(http://www.agr.hokudai.ac.jp/botagr/sakumotsu/)から検索可能にした.また,(2)主要な品種については各地域の研究担当者が水田圃場で栽培して,葉面積量,個葉光合成速度,子実の肥大速度と期間,収量構成要素および収量,これら形質の窒素施肥反応性を測定し,20世紀における水稲収量の変遷と栽培品種の特性との関係を解析した.なお,当初の予定では(2)のデータも加えた統合的なデータベースを作成することにしていたが,研究の進捗状況の遅れから困難となり,成果報告書に解析結果を記載するとともに,学術論文として公表した.将来的にはこれらのデータも今回作成したデータベースに加えることを予定している.
【研究代表者】