ミトコンドリアー筋小胞体ネットワークの破綻を介した心筋拡張障害の発症メカニズム
【研究キーワード】
超高圧電子顕微鏡 / 電子線トモグラフィー / インスリンシグナル / 心筋微細構造 / APEX2 / インスリン抵抗性 / ミトコンドリア / 筋小胞体 / 糖尿病性心筋症 / 電子顕微鏡
【研究成果の概要】
(1)超高圧顕微鏡による電子線トモグラフィー技術を用いた心筋組織の3次元微細構造解析技術を開発
これまで心筋の微細構造は透過電子顕微鏡(TEM)を用いて解析されてきた。TEM 法は、非常に高い分解能が得られるものの、電子線が透過できる厚さが0.1μm以下という制限が存在するため、マイクロメートルのスケールで三次元構造解析を行うことは困難であった。超高圧顕微鏡を用いることで、0.3μm, 0.5μm, 0.8μmの厚さのマウス心筋試料もZ帯、I-band、A-band、M-band、ミトコンドリア、T管-筋小胞体構造が、3次元構築に耐えうる解像度で描出できることが確認され、実際に心筋Z-bandの3次元構築画像も作成し、今までにない厚みの立体画像の構築に成功している。また、厚みのある心筋試料の観察は当初予想していた3次元観察の幅を広げるのみでなく、従来の電子顕微鏡では捉えられなかった構造の発見にもつながっており、今後の新規構造体の機能解析も計画する。
(2)APEX(アスコルビン酸ペルオキシダーゼ)による生体心筋細胞内分子の標識および電子顕微鏡観察技術の構築
心臓のインスリンシグナルの時空間制御機構を解析するために、インスリンシグナル分子のAKT1およびAKT2と電子顕微鏡用標識蛋白であるAPEX2との融合蛋白を心筋特異的に発現した遺伝子改変動物を作成した。心筋でのAKT1およびAKT2の心筋での局在を、(1)で開発した電子線トモグラフィー技術を用いてナノメートルレベルの解像度で撮影する技術を開発中である。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)