世界農業遺産システムの農業景観の過去と現在-佐渡の土地利用形態と自給的農業
【研究キーワード】
近世 / 佐渡 / 農村 / 景観 / 世界農業遺産 / 農文化 / 食文化 / 自給的農業 / 農業景観史
【研究成果の概要】
本研究は、近世期農村景観のデジタル地図による再現、並びに今日に至るまでの土地利用形態の通時的分析に主眼を置いている。本研究の対象は、小佐渡山地に位置する月布施、野浦、東強清水地区の互いに隣接する3つの集落である。これまで、過去約3世紀の土地利用形態を分析可能にする単位として、耕地の社会文化的まとまりを反映した小字をデジタル地図で復元する作業を進めてきた。
令和3(2021)年度までに、以下2つの作業について概ね完了に至る道筋を付けた。
1つは地理情報システムに搭載可能な小字ポリゴン(以下、デジタル小字復元図とする)の作成である。初年度に地押調査更生地図(明治中期の地籍図)の複写撮影を行って以来、同図の記載を基に調査対象地の小字区画を確定し、地理情報システムの1つであるQGISを用いて小字の図形データを作成する作業を進めてきた。令和4(2022)年3月現在、調査対象3地区のうち2地区のデジタル小字復元図の暫定版が完成している。国土地理院電子国土ウェブやGoogle Earth等のベースマップと重ね合わせ、土地利用形態の分析および評価に資することを確認している。
もう1つはデジタル小字復元図に入力する各種データセットの作成作業である。初年度に現地調査を実施した際、最も古い土地利用情報として江戸期の検地記録である御検地水帳の複写撮影を行った。2021(令和3)年度にかけて御検地水帳の翻刻作業を進め、分析に必要となる箇所のデータ化が完了している。他方、eMAFF農地ナビ(旧全国農地ナビ)等を基に、調査対象地の今日の農地利用状況に係るデータを収集整理し、上記御検地水帳データと比較可能なデータセットを作成した。
この他、継続的な現地調査の結果、自治的な農地管理の効率化という観点から、地元の方々の間で小字復元図に対する需要があることが明らかとなった。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)