細菌が褐虫藻と共生しROS産生を軽減するメカニズムの全容解明
【研究キーワード】
サンゴ / 褐虫藻 / ホロビオント / カロテノイド生産菌 / ゼアキサンチン / FISH解析 / サンゴホロビオント / 共生 / 活性酸素種
【研究成果の概要】
本研究では褐虫藻-カロテノイド生産菌を中心にサンゴホロビオントにおける生物間相互作用をマルチオミクス解析により明らかにし、カロテノイド生産菌が褐虫藻のROS産生を軽減する機構を全容解明する。本年度は、まずサンゴと共生する主要な褐虫藻であるCladocopiumおよびDurusdiniumの継続的な培養を開始し、カロテノイド生産菌の分離培養を試みた。Cladocopiumからはオレンジ色を呈するコロニーを形成するフラボバクテリウム科細菌C-2466株を発見した。有機溶媒を用いて色素を抽出後、逆相TLC分析を実施したところ、C-2466株はゼアキサンチンを含む複数のカロテノイドを合成することが明らかになった。これまでに本研究者らが褐虫藻から発見しているフラボバクテリウム科細菌GF1株(Motone et al. mBio 2020)よりも色素量が多かったことから、褐虫藻の環境ストレスを緩和する有望な菌株となる。さらにDNAプローブを用いたFluorescence in situ hybridization(FISH解析)を行ったところ、C-2466株はCladocopiumの細胞表面に局在していることを確認した。抗生物質による無菌化を試みたCladocopiumにおいても、C-2466株の残存が確認されたことから、CladocopiumとC-2466株は強力な共生関係を構築していると考えられた。C-2466株から高品質なゲノム抽出に成功し、次世代シーケンサーによるシーケンシング解析を実施することができたため、ゲノム科学的な手法も用いて、褐虫藻-細菌の相互作用メカニズムを解明していきたい。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)