転写制御系の変化の解析に基づく芳香族化合物代謝系オペロン造成機構の解明
【研究分野】応用微生物学・応用生物化学
【研究キーワード】
転写制御 / オペロン / car遺伝子群 / Pseudomonas / 芳香族化合物分解系 / 進化 / ダイオキシン / カルバゾール
【研究成果の概要】
1.Pseudomonas resinovorans CA10株のカルバゾール(CAR)分解系遺伝子群の転写機構
CA10株のCAR分解に関与するcar遺伝子群([ORF9]carAaAaBaBbCAcAdD)(CARからアントラニル酸[AN]への変換に関与)、ant遺伝子群(antABC)(ANのカテコールへの変換に関与)が両オペロンの5'上流に存在するP_<ant>プロモーターからAN誘導的に発現することを示した。さらに、転写制御領域、制御タンパク質、エフェクター分子、転写開始点も解明した。まだ、carオペロンはcarAa直上流のσ^s依存性carAaプロモーターから構成的に転写されることも明らかにした。P_<ant>プロモーターは本来antオペロンの上流に存在したが、挿入配列の転移に伴い、car遺伝子群の上流へと転移し、car遺伝子群のCAR生育時の発現誘導(代謝中間体であるANを誘導基質とする)に関与することを示した。
2.新規カルバゾール分解菌の単離と祖先型car遺伝子群の転写制御機構
新たに10株のCAR資化菌を取得し、CAR分解系遺伝子群の構造解析の結果、Janthinobacterium sp.J3株のcar遺伝子群がCA10株のcar遺伝子群の祖先型であることが明らかになった。J3株のcar遺伝子群は、不安定な代謝中間体であるメタ開裂物質により転写誘導されるP_<u13>プロモーターの制御下にあり、発現誘導機構や発現プロファイルがCA10株のcar遺伝子群とは全く異なることが示された。特にCA10株のcar遺伝子群の場合は強い発現量が長く継続する傾向が見られ、ISの転移に伴うP_<ant>プロモーターを獲得することでCARの効率的分解に適した形に進化したことが示された。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2001 - 2003
【配分額】4,000千円 (直接経費: 4,000千円)