イネシュート形成の遺伝的制御機構に関する研究
【研究分野】育種学
【研究キーワード】
イネ / 突然変異体 / 茎頂分裂組織 / SHOOT ORGANIZATION遺伝子 / SHOOTLESS遺伝子 / DECUSSATE遺伝子 / マッピング / シュート / SHOOT ORGANIZATION1遺伝子 / SHOOTLESS2遺伝子 / PLASTOCHRON1遺伝子 / in situ hybridization法
【研究成果の概要】
本年度はイネの茎頂分裂組織の分化と維持に重要な機能を果たしているSHOOT ORGANIZATION(SHO)とSHOOTLESS(SHL)遺伝子についての解析を行った。前年度はSHO1およびSHL2の発現パターンをin situ hybridization法によって解析を行ったが、両遺伝子とも組織全体で発現しており、植物体全体で機能を果たしていると考えられた。一方、本年度は新たに同定されたSHL4遺伝子の発現解析を行った。SHL4遺伝子は他の2つの遺伝子とは異なり、茎頂分裂組織や、葉原基などの特異的な器官や組織において発現が認められた。従って、SHL4遺伝子は、他の遺伝子と共同で茎頂分裂組織の分化と維持に特異的に機能している可能性が考えられた。
茎頂分裂組織の維持と葉序の決定に重要であると考えられるDECUSSATE(DEC)遺伝子の遺伝子単離を目的とし、インド稲とのF2およびF3集団を用いてファインマッピングを行った。DEC遺伝子は第12染色体の約58cM付近に座乗している事が明らかとなっているが、この領域は非常に組換えが抑制されている領域であり、すでに3000個体を超す集団を用いてマッピングを行ったが遺伝子の同定には至っていない。またdec変異体のアリル候補であるOOT-γ-144変異体とインド稲とのF1個体を温室で生育中であり、このF2種子を用いてアリルかどうかの確認を行う予定である。
一方、昨年度同定したシュート形態異常を示す突然変異体4s-28のラフマップを行い、この原因遺伝子は第一染色体の長腕に座乗することが明らかとなった。この変異体は高頻度で茎頂分裂組織の維持ができなくなると共に、維管束の分化にも異常をきたすことが明らかとなっていたが、更なる形態観察の結果、導管の連続性や維管束の分化位置に異常が認められることが明らかとなった。
またイネの発生過程とステージ分けに関する総説をまとめた。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2003 - 2004
【配分額】3,800千円 (直接経費: 3,800千円)