ラジオアイソトープ、微少電極、蛍光プローブを相補的に用いた植物根のイオン輸送解析
【研究キーワード】
放射性トレーサー / 植物 / イオン / 放射性同位体 / 蛍光寿命イメージング法 / 微小イオン電極測定装置 / ラジオアイソトープ利用 / イオン輸送解析
【研究成果の概要】
これまでにマグネシウムイオン(Mg2+)やナトリウムイオン(Na+)において、根の周囲のイオン吸収/排出に焦点をあてて研究を進めてきた。これまでに、Mg実験については放射性同位体28Mgを用いた試験により、Mg環境変化に伴ってMg2+吸収速度が迅速に変化することをとらえており、そのメカニズム解析のため、イタリアミラノ大学等との共同研究によりMg2+の濃度変化を捉えるための蛍光タンパク質(プローブ)を植物根で発現させることを目指している。Na実験については、根からNa+が排出される様式について、オーストラリアタスマニア大学との共同研究において微小電極法によりNa+は根の成熟域から排出されることが明らかとなり、さらに放射性同位体22Naを用いた解析によりNa+排出はSOS1、SOS2、SOS3タンパク質が関与していることが明らかとなっている。
本年度は、Mg実験については、Mg2+プローブをシロイヌナズナで発現させることを目指し、さまざまなプロモーターやプラスミドを用い、さらに野生型株のみならずrdr-6変異体に対して形質転換してMg2+プローブが発現する植物体の作成を試みたが、いまのところ蛍光を発する植物体は得られてはいない。加えて、Mg含量に重要な役割を果たすと考えられる液胞に局在するAtMRS2-1の解析を行い、重要なドメインなどを特定した。
Na実験については、Na+排出チャネルであるSOS1タンパク質がどの細胞にあるときに効率よくNa+を排出できるかについて、根の様々な組織で発現させるためのプロモーターセットにSOS1を載せ、sos1変異体に形質転換を行った。これまで30を超える植物種を作成し、順次Na+排出能とともにNa+耐性や含量測定を行った。その結果、SOS1を効率よく利用するための根の部位が明らかとなった。次年度も継続して解析を進める予定である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
小林 奈通子 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
杉田 亮平 | 名古屋大学 | アイソトープ総合センター | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
【研究期間】2019-10-07 - 2024-03-31
【配分額】18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)