セルロースミクロフィブリルの新しい構造モデルの構築
【研究分野】林産学
【研究キーワード】
セルロースミクロフィブリル / セルロースIβ / セルロースIα / 平行鎖構造 / βキチン / セルラーゼ / バロニアセルロース / 非晶領域 / セルロースI_β / セルロースI_α / セルロース / バロニア / シオグサ / 二相性 / 成長応力 / バクテリアセルロース / 結晶弾性率 / セルロースの圧電性 / 圧電
【研究成果の概要】
(1) 構造・形態:セルロースミクロフィブリル中での分子鎖は、パラレルアップであり、セルロース分子の還元末端がc軸方向を向いている。分子鎖形成の重合反応が非還元末端で起こる。また、セルロースIβは捩じれていて、厳密な結晶ではないと考えた方がよい。IaとIβとでは、表面が異なる。IaとIβの違いは、木材セルロースでは一次壁と二次壁とでストレスに差があって、それが原動力となって違いを生じるという。加水分解物による高度配向試料を調製することができた。それを重水素置換して中性子回折を行い、結晶中の水素原子の位置を推定できた。その結果、セルロースIIは逆平行鎖構造であり、その理由が分子の疎水面の形状で説明できる可能性を示した。平行鎖構造のベータキチンは一定濃度以上の塩酸で膨潤すると逆平行鎖構造のαキチンに変態するが、そのメカニズムはセルロースの場合と同じである。
(2) 物性:セルロース結晶の熱膨張を詳細に検討し、幾つかの新知見を得た。分子鎖方向には膨張せず、a軸方向が主である。ミクロフィブリル間で熱分解の抵抗性に著しい差がある。セルロース結晶のポアソン比が測定された。木材の力学物性から、セルロースミクロフィブリルには安定した結晶相、非晶相以外に不安定結晶相を考えると都合がよい。この相は水分で非晶化する。木材のヤング率から、ミクロフィブリルの長さ方向に存在する非晶領域は分子鎖の配列、比容からして結晶のそれと大差はない。2相説に基づく繊維の場合は、ミクロフィブリルの幅、長さ方向に非晶が存在する。
(3) 酵素分解性:酵素 特異性とともに、セルロースの状態すなわち高次構造によって著しい差異がある。高結晶バロニアにも特異的な領域がある。
以上、セルロースミクロフィブリルは、起源によって大きい違いがあることが判明した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1996 - 1998
【配分額】10,600千円 (直接経費: 10,600千円)