リメディエーションによる文化的記憶形成とその教育的活用に関する歴史的・体系的研究
【研究キーワード】
教育 / 集合的記憶 / 文化的記憶 / 想起文化 / ビルドゥング / 記憶の教育学(メモリー・ペダゴジー) / リメディエーション / 想起 / メモリー・ペダゴジー
【研究成果の概要】
2021年度は、大きく分けて四つの目標を立てた。(1)メモリー・ペダゴジー論集の刊行に向けて、継続して研究会を積み重ねる。(2)記憶の理論に関する重要な著作であるエアル『集合的記憶と想起文化』の邦訳を行う。(3)「平和教育」を事例としてメモリー・ペダゴジー論の有効性について検討を行う。(4)演劇「あの夏の絵」の調査を行い、「リメディエーション」を鍵概念としてその成果をまとめる。
(1)については一年間で計7回の研究会を開催して「記憶と教育」に関する各論考の検討を行った。その成果は2022年夏季に刊行予定である。(2)の邦訳作業もほぼ順調に進めており、2022年4月中旬現在、二度目の校閲作業を終えた段階にある。予定では2022年夏季に刊行される。(3)については日本カリキュラム学会第32回大会シンポジウム「新しい時代を切り拓く平和教育のあり方について」(2021年6月26日、琉球大学、オンライン開催)にて、記憶の教育学の立地点から平和教育について論じた。(4)に関する実績としては、原爆の記憶継承とかかわる演劇について「不条理」哲学とのかかわりで論じた拙論を英語論集に寄稿した(Wigger/Dirnberger 2022)。また、教育思想史学会第31回大会コロキウムにおいて「原爆の絵」プロジェクトをめぐる討議を行い、その成果を公にした(山名編 2022)。同プロジェクトをモチーフとした演劇「あの夏の絵」に関しては関係者へのインタビュー調査を積極的に行ったことで貴重なデータを収集できたが、学術的な成果を公にするところまでは辿り着くことができなかった。
その他、「記憶の教育学」の理論と実践について各種セミナー・研究会で報告する機会を得た(2021年8月20日の教職員支援機構における令和3年度防災教育推進セミナー、2022年3月12日の三田教育学会研究会など)。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)