心臓由来幹細胞の分化能を活性化する因子の同定と臨床応用への道のり
【研究キーワード】
心筋再生 / 遺伝子導入 / 炎症 / 心筋傷害 / 培養基質 / 心筋障害 / 虚血性心疾患
【研究成果の概要】
心臓手術の際に得られた左心耳組織から細胞を培養した。昨年度までに行った左心耳組織の遺伝子解析の結果では炎症性サイトカインの多くが虚血性心疾患で多く発現していた。一方で胎生期の心臓転写因子であるISL1=1.47倍、HAND1 1.34倍、TBX5=4.11倍と非虚血疾患の方が発現上昇がみられていた。しかしながら非虚血性では平均左房径が44mm (median 43 mm)と虚血性のもの(同39.8、38.0[mm])と左房拡大症例が多く左房への負荷が高い状態であると考えられた。このため細胞培養は虚血性心疾患のものから行う方針となった。しかしながら細胞培養を行ったところ培養効率に大きな差が見られた。すなわち遺伝子導入を行った際のベースラインに大きな差が見られ、遺伝子導入の結果異常に培養環境による影響が強いことが判明した。これに影響する因子を検討したところ、検体採取から培養開始時間は24時間以内であれば大きな差はみられなかったが、培地の基質(硬さおよびコーティング)および検体処理の方法によりかなりの差が見られることが明らかになった。特に非コーティングの通常ディッシュの場合、組織接着が脆弱で同量の組織量でも得られる細胞の量をおよび質が異なることが示された。そこでコラーゲンコートおよびコラーゲン内に組織を封入し、細胞の質に差異が見られるかを検討した。培養効率としては3%ゼラチン内に組織を封入する方法が最も高く、また非コーティングディッシュが最も低く、その差は約8倍であった。一方で封入法では細胞回収までにコラーゲンの分解操作が必要であり細胞障害を引き起こす可能性が考えられ、最終的に0.3%コラーゲンコーティングディッシュを用いて培養することにより安定した細胞数の供給が得られることが判明した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
門口 智泰 | 順天堂大学 | 医学(系)研究科(研究院) | 博士研究員 | (Kakenデータベース) |
山本 平 | 順天堂大学 | 医学部 | 先任准教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)