筋原線維の自発的振動収縮
【研究分野】分子遺伝学・分子生理学
【研究キーワード】
筋収縮 / 筋原線維 / 振動収縮 / 位相差顕微鏡 / 自発的振動収縮 / ATP
【研究成果の概要】
今年度は, 我々が数年前に発見しSPOCと呼ぶことにした, 筋原線維(骨格筋)の自発的振動収縮現象を定量的に解析する方法を確立した上で, SPOCを生じさせる条件を様々に検討すること, そしてSPOCの本質面を理解することを第1の目標とした. 未だ十分な解明はなされていないが, 研究成果を個条書にする.
1.テレビカメラーパソコン接続によりSPOCの振動波形等の解析, その表示法等, そのためのソフトを改良した. その結果, 波形, その相関関数等を迅速に求めることが出来るようになった.
2.アクト・ミオシンからなる収縮要素と, 並列弾性要素が粘性溶媒に浸っているという力学モデルによって, SPOCの一部の性質を理解することができた. 筋原線維の両端部での弾性要素の役割が無視しえないものである.
3.筋原線維のSPOC条件下でのATPaseを測定した. 筋原線維の懸濁液を用いた場合には, 収縮条件下と比べて幾分低い活性を示した. しかし, 懸濁液の場合には, 筋原線維の両端は固定されていないため, SPOC状態でのATPaseを測定したことにはなっていない. 光学顕微鏡下でSPOCをしている際の活性は, 測定が困難であるが, 予備的な実験によれば, 両端未固定の場合と比べて高いようである. この点は今後検討すべき重要な点である.
4.筋原線維調製時のトロポニンの遊離(あるとしてもわずか)とSPOCが関連している可能性が懸念されたが, 精製トロポニンの添加によってSPOCに何も変化はなかった. ただしトロポニンに混在していた微量のミオキナーゼの作用がみられた.
5.心筋についてもSPOCを解析した. 拍動数の低い牛の場合には, SPOCの周波数も非常に低かった.
【研究代表者】
【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1986 - 1987
【配分額】1,200千円 (直接経費: 1,200千円)