ゲノムを創り、細胞に導入する方法;合成ゲノム活用に向けて
【研究キーワード】
ゲノム合成 / 長鎖DNA / 溶菌法 / 接合伝達 / バイオテクノロジー
【研究成果の概要】
初年度(令和3年度)は、ゲノム合成に向けたベクターの改良を行った。本研究では出芽酵母と枯草菌でそれぞれの構築法を比較するため、まず既存のYAC-BACシャトルベクター(YAC; Yeast artificial chromosome, BAC; Bacterial artificial chromosome)に、枯草菌で複製できるプラスミド(pGETS109)の必要な部分をつなぎ合わせて、出芽酵母―大腸菌―枯草菌で複製可能な3者間シャトルベクターを構築した。得られた3者間シャトルベクターを用いてまず出芽酵母でのGap Repair Cloning(GRC)法を実施し、使用できることを確認した。続いて枯草菌でのGRC法は、当研究室のオリジナルであり、これまでにGFP遺伝子を有する17kbのプラスミドを4分割したコンティグDNAを用いて条件検討を行ってきた。以前の研究で枯草菌の通常の自然形質転換法ではGRC法の効率が悪い事が判明していたが、プロトプラスト法を用いる事で、4分割したコンティグを連結させる事に成功した。さらに枯草菌ゲノム中の組み換え酵素をコードするRecA遺伝子の発現プロモーター配列を野生型からキシロース誘導型に変換する事で効率を大幅に上げることに成功し、ヒトゲノムのMYC領域(約10 kb;4コンティグDNA)も枯草菌で構築する事ができるようになった。現在、ラムダファージゲノム(48kb)などについても出芽酵母または枯草菌でどの程度の効率で構築できるか比較解析を実施している。一方、次年度以降の接合伝達実験を見据えて、広域宿主に伝達可能な大腸菌の接合伝達プラスミドpUB307 (55 kb)から接合伝達に必要なoriT領域の探索も実施し、必要なoriT配列(6.3kb)を見つけ出す事ができた。この領域についても上記シャトルベクターへの導入を実施している。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2025-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)