ナチュラルバリエーションとイオンビーム変異体を利用したマグネシウム吸収機構の同定
【研究キーワード】
マグネシウム / イネ / シロイヌナズナ / MutMap / QTL-seq / 品種間差 / MutMap法 / 低マグネシウム / 次世代シーケンサー / QTL / イオン吸収
【研究成果の概要】
地上部のマグネシウム濃度が低いイネ変異体の1番染色体上にはlong deletionがあり、この領域には2つの遺伝子が含まれていた。そこで、ゲノム編集にてそれぞれをノックアウトした変異体を作出したところ、zinc fingerタンパク質をコードする遺伝子の欠損が、マグネシウム含量低下の原因と確認された。マグネシウム動態に関わるzinc fingerタンパク質が同定されたのはこれが初めてである。
低マグネシウム品種Ove-0と高マグネシウム品種Col-0のゲノムを用いてQTL-seq解析を実施し、マグネシウム濃度を制御する遺伝子座が5番染色体の0~2.3 Mbの領域に存在することを突き止めた。
【研究の社会的意義】
多量必須元素であるマグネシウムの吸収や体内動態を司る複数のイオン輸送体は同定されているが、それらが協調してマグネシウムの濃度を制御する仕組みはよくわかっていない。本研究で発見したイネの遺伝子は、微生物や哺乳類にも相同遺伝子が存在するが、これまでにマグネシウム動態への関与が示されたことはない。また、シロイヌナズナにおける候補領域にも、マグネシウムに関係する既知の遺伝子は座上しておらず、マグネシウムの濃度制御に関わる新規の因子の発見が予想される。近年、主要穀物中のマグネシウム濃度は低下の一途をたどっており、これらの遺伝子の情報は高マグネシウム品種の開発につながると期待される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
市橋 泰範 | 国立研究開発法人理化学研究所 | バイオリソース研究センター | チームリーダー | (Kakenデータベース) |
小堀 峻吾 | 国立研究開発法人理化学研究所 | バイオリソース研究センター | 開発研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)