船舶への先進複合材料適用に関する基礎的研究
【研究分野】船舶工学
【研究キーワード】
複合材料 / 船舶構造 / CFRP / 構造モニタリング / 成形モニタリング / 低コスト成型法 / 光ファイバセンサ / BOTDR / 低コステ成形型法
【研究成果の概要】
SESやハイドロフォイルなどの高速船において、高速化と経済性の両面から構造の軽量化が重要である。従来から、アルミ合金単板構造あるいはアルミ・ハニカムを心材とするサンドイッチ構造が高速船に利用されている。将来の船舶のより一層の高性能化のためには、比強度に優れた先進複合材料の適用が有効と考える。
CFRPを船舶構造に適用するためには、部材形状の大型化と成型コストの削減が重要である。既存の成型法では大型化と低コストを両立させたものはないので、新たな低コスト成型法を開発する必要がある。また成型品の品質保証を製造時および運用時に行えるシステムの開発が望まれる。
低コスト成型法として100℃以下の低温で賦形し、アフターキュアを高温(140〜180℃)で行うプリプレグ低温・低圧成形法に注目した。この成形法は、従来のオートクレーブ成形と比べて極めて低コストの成型法であり、大型部材にも適用可能である。しかし、アフターキュア時の熱変形や品質管理に未解決の技術課題を残しており、実用化の障害になっている。
本研究では、成形モニタリング、成型品の品質評価および使用中の性能モニタリングのため、光ファイバセンサ(BOTDR)を埋め込んでCFRPと一体化した知的構造とすることにより、本成型法の用途拡大と実用化を可能とするための基礎技術を開発した。
低温・低圧成形成型法の大型化のための技術課題を明らかにするとともに、光ファイバ埋め込み技術とひずみ測定技術を確立し、成形プロセスのモニタリングと完成品の品質評価を可能とする知的複合材料構造を試作した。さらにこのセンサーシステムの耐久性と信頼性を保持する方法を検討し、運用中のモニタリングやメンテナンスでの利用方法について検討した。
【研究代表者】